だらっと和田パン

話が跳んだり跳ねたり行ったり来たり。映画とか、システマとか、漫画とか。ネタバレあります。

トラウマ恋愛映画

町山さんの本で「トラウマ恋愛映画入門」っていうのがある。恋愛映画の紹介をしていく本なんだけれど、これまたトラウマっていうくらいなので、やたらに内容が濃い作品ばかりになっている。 「 たまむすび」っていう最近出た町山さんのやっているラジオの書き起こしを最初に読んだ。それまでは映画評論家なんて偉そうにしてるだけで、映画は見て楽しめればそれでいいのだ。くらいに思っていたけれど、「映画は、何も知らずに観ても面白い。でも、知ってから観ると100倍面白い。観てから知っても100倍面白い!」という町山さんの言葉通り、知れば知るほど映画が好きになる。 今なら「なんで勉強しなきゃいけないの?」って子供に聞かれても、「それはね、映画を楽しむためなんだよ」って教えてあげられる。教養っていうのは映画のためにあったのだ。教養万歳! 「トラウマ恋愛映画入門」は1960年代から2000年代までの、多様な恋愛映画を、さまざまな形で紹介していく。まだ僕は全部は観てないんだけど、本当にトラウマになりそうなのばっかり。ただ作品を観るだけだと、そこまで深く傷つかないかもしれないけど、知ってから観たり、観てから知ると、心の奥の方にナイフが刺さる。 1番キツかったのは、ヒッチコックの「めまい」。ヒッチコックの作品はあと「サイコ」くらいしか観てないけど、いちいち重い。観た後1週間くらいは胃もたれしてる感じ。 「サイコ」にも繋がるんだけど、ヒッチコックは金髪美女を殺す。なぜヒッチコックは金髪美女を殺すのかっていうところを掘り下げていくと、ヒッチコック自身の本質に迫らざるを得ない。ヒッチコックの過去の作品や、ヒッチコック自身の人生に焦点を当てることで、映画の本質が見えてくる。それをヒッチコック自身が意識してやっていたのかはわからないけど、映画を観ると、ヒッチコックの棘が刺さった身体と心を、全身で抱きしめてお互いに傷だらけになる。 今の時代はモノが溢れ、探そうと思えばネタでもなんでもすぐに見つかる。ヒッチコックの時代はもちろんインターネットもないし、情報を探そうとすると本を読んだり、人に聞いたりするしかなかった。そうするとどうしても自分自身の中から出さないといけないのかな。今の時代の映画が薄っぺらいとかいう気はないけど、観やすいように形を整えて、綺麗になっているのが、ヒッチコックとかを観るとよく分かる。ヒッチコックの人生が、痛みが丸ごと飛んでくる。そりゃ重いよね。 それでもいい人、傷ついてもいい人は観てください。是非、「トラウマ恋愛映画入門」を読んでから観ることをオススメします。観た後に読んでもいいけど。 観てから読んだらどう感じるんだろう。読んでから観ると、意味がわかって来るから観ながら苦しめるけど、観てから読むと、どうなるかね? 本を読む前には戻れないからなぁ。これも1つの楽しみ方になるかもしれない。ネタバレ嫌いな人もいるし。僕はどっちかっていうと、充足理由律的な考え方するから、まあしょうがないって思えるけど。 そういえば、「トラウマ恋愛映画入門」の中に「永遠の愛に生きて」っていうアンソニーホプキンスの出てる映画があって、それが観たいんだけど、まさかのDVD化されてないっていう。。 午前10時の映画祭とかでやって欲しい。