コネクティングドット
基本的に運がない男なので、懸賞とかに応募しても当たった事ないし、ギャンブルも好きだけど、あまりやらない。弟との絶対的な運量の違いを見たとき、才能の違いを見せつけられた感じだった。それ以来クジ引きなんかは絶対に弟に引いてもらう。
ただそんな僕にもたまにはいい事あるもんで、応募してたボエミアンラプソディの試写会に当たった。酔ってたのもあるけど、テンションが上がりすぎて手紙を失くしてしまうくらいには嬉しかった。
逆に失くした事でテンションだだ下がりだったけども、なんとか見つけ出し、ホッと胸をなでおろす。
ただ試写会は1組2人。まあ1人でもいいんだろうけど、行った事ないからどんな様子なのか分からない。
オペラの時は男女で行くもんだろって思ったけど、完全に固定観念だった。
行きたいって言ってた後輩は平日の夜ってこともあり、残業確定だそうで、来られず。
久しぶりにマネーペニーでも呼ぼうかって感じだけど、クイーンって僕の世代知ってるもんなんかね。
20代後半から30代前半くらい。
キムタクのドラマで使われてた “ I Was Born to Love you” とか“We will Rock You” とかは聞けば知ってるとはもちろん思うけど、クイーンが好きなんです。とかっていうのは割とマイノリティなんじゃないか。
でも、父親が好きだからとか、あの世代の音楽が好きとか、ロック好きとかって考えると結構いそうだなとも思ったり。思わなかったり。
っていうかマイノリティっていう意味では、薄々感じてはいたけど、オタクの僕はマイノリティっぽい。
同世代の人たちに漫画とか映画とかの事を熱く語ると結構引かれる。
こういうオタクらしさっていうのは出しにくいし、家系的に人の悪口とか嫌がる事を言いまくれるっていうのもあって、なかなかベラベラ喋りにくい。一回考えてからじゃあないと、これは喋って大丈夫なのかどうか判断がつかない。しかもだいたい「これ言ったらあかんやつや」って事が1番最初に出てくる。目上の人と喋るんはそういう意味でも難しい。
口は災いの元って事で、だったら無口でいた方がいいかとは思ったりもする。周りには割と無口だと思われてるから、(実際にめんどくさがりってのもあるが)喋らんでもいいかと思ったりもする。
そもそも武術やってます。しかもシステマっていうのはかなりマイノリティだろって言われればそうかもだけど。
クイーンの話。
クイーンは町山さんが中学生くらいの時に流行り出したらしいから年齢層的には50からくらいのもん。40代くらいまでは結構メジャーかもしれんが。
フレディは僕が生まれた年に死んでるし。
マイケルジャクソンとかも、死んでから再ブレイクっていう現象があるから、30代とかもそういう意味では知ってるかもしれない。
結局よくわからん。
なぜならその時代に生きれてないから。
その時代を生きてきたってのはやっぱりかなりの強みだなと改めて思う。
僕は見た目がおっさんだからなのか、結構いいオヤジ、カッコいいオッサンへの憧れがあったりして、クリントイーストウッドとかアルパチーノとかロバートデニーロとか大好きだし、ジェームズボンドも大好き。
かといってああいう風には行きられんところが残念だったりもするが、これでも努力はしてたりしてなかったり。
当時の映画を観れてもその時代の雰囲気のまま味わうこととはやっぱり違うなと思う。例えば “ヒート” とか劇場でリアルタイムで観た人なんかはめちゃめちゃ羨ましい。当時の社会情勢だったり、雰囲気だったり、噂話とかを楽しみながら映画を楽しむっていうのは今となっては味わえない贅沢。
今の僕にできることといえば、点を集めることくらい。もちろん今の映画も観るけど、昔の映画なんかはちょっとずつ点で拾っていくしかない。
町山さんの話を聞いたり、映画の解説を聞いたり、ネットで調べてもそれは断片であり、点である。
その点を少しずつ繋げていく。その作業も点がたくさんないと出来ないし、点が存在しないところには繋げる線は伸ばしていくことはできない。
じゃなかったジョブスはスタンフォードのスピーチで点と点を繋げなさいって言っていた。
武術にしても、創始者が亡くなった後にはそうした点を拾っていくことしかできない。
その武術の歴史を読んだり、DVDで技を見たりしても、結局点を拾うことにしかならない。
銀河系にある星のいくつかを眺めてることは、その星に住むことにはなりえない。
幸いシステマは創始者が生きてるとはいえ、僕が触れてる歴史っていうのはかなり短いもので、それまでの歴史については点を集めていくことしかできない。
かといって自分にできることは少しずつ点を増やしていくことしかできない。できないことはできないんだから、できることをちょっとずつ積み重ねる。
運量の少ない僕にはそれくらいのことしかできない。
でも頑張って生きてると試写会に当たったりもする。今までだったらどうせ当たらんと応募すらしなかっただろうけど。
生きてる時代になんとなく生きてみる。
フレディがいない時代にも、フレディの点を拾えることに感謝して。