だらっと和田パン

話が跳んだり跳ねたり行ったり来たり。映画とか、システマとか、漫画とか。ネタバレあります。

今更観てないとは言えない映画

沢山ある。

ETも観てないし、未知との遭遇、バックトゥーザフーチャーなんかも観てない。

そもそもSFが苦手だったのもあり、スピルバーグもこの前までちょっと避けてたようなきらいがある。

今号のブルータスではそんな特集をやっていた。(第2弾)

確か第1弾の時は黒澤明作品を一本も観たことないような状態だったので、それから比べれば観た本数もそれなりになってきたような気がするし、大分映画にも詳しくなったような気がする。

第2弾は本屋でペラペラめくってたら、町山さんのページがあって、そこだけ立ち読み。(いや、買えよ)

町山さんは観てない映画が思いつかないらしい。そりゃ、そうか。年季がなんたって違う。

町山さん曰く、映画は大体今までの映画のオマージュで出来ているから、それの元となる作品を観ていく。

そんな町山イズムを少しずつ受け継いで、(といってもなんの情報もないと全く分からないが)自分も過去の作品などを遡って観たりするようになったし、ジャンルの枠も気にしないようになってきた。

そんな中、クリード2が来年の1月11日に公開になる。ということで、ロッキーを初めて観た。(クリードは既に観ている)

こんなに面白かったのか。。。。

ロッキーは多分語られ過ぎてて今更語ることもない扱いなのだと思うんだが、こんなに面白いならもっと早く教えて欲しかった。

とりあえず今のところ、ロッキー2まで観た。ロッキー(1)は最高だけど、2は最悪。

なんてたって、はじめの5分で思いっきり泣かされ、ラストの5分で涙が止まらなくなる。

人生ベスト映画確定ですわ。

早く3からファイナルまで観たくてしょうがない。

ロッキーの良いところは、時代背景と自分自身を思いっきり反映していること。

ロッキーはスタローンが脚本を書いていて、アーウィン・ウィンクラーっていう制作の人に見せたところ、すごい気に入られる。そこで、売れない役者だった(当時既に30手前)スタローンは「俺が主演じゃあなきゃ、この脚本はやらねえぜ」的な事を言って主演を手に入れる。

が、当時全くの無名だったスタローンでは、全くというほどお金を貰えず、有名なアイススケートのシーンはエキストラを雇うお金が無かったために、2人っきりになったらしい。

結果として、あんなにいいシーンになっていて、金の問題でもないなと思ったりもする。

何が功を奏するかはやってみなきゃあ分からん。

他にもフィラデルフィアで実際に撮っていて、ペットショップなんかも実際のものをレンタル。エイドリアンがペットショップ屋にいるのは、籠の中の鳥として、自分を出せない羽ばたけない鳥としての暗喩。

ロッキーの亀は、冗談やムキムキの身体(甲羅)で自分自身を守っているが中身は弱い心を抱えている。

っていうか、みんな本当はそうなんじゃあないかと思ってるけど、世の中には自分の身体を鍛えない男もいるからなぁ。そういう人はよっぽど中身しっかりしてるんだろうな、凄いなぁと思う。

走ってるロッキーにオレンジを投げるシーンは、フィラデルフィア市民がボクサーのドキュメンタリーを撮ってるものだと思って、頑張れよ的な意味で投げたものらしい。

と、偶然の要素もロッキーという映画をとんでもなく良い作品に仕立て上げているのでもあるが、やっぱり何より良いのは脚本。

そもそもの時代背景はベトナム戦争敗戦、ウォーターゲート事件と悪いことが続いており、アメリカ全体が負けムード。プラス不況。

そんな中で復活の映画として打ち出されたのが「ロッキー」。

だからロッキーにとって勝ち負けは問題ではない “Go the distance” 最後までやる。やりきる。

落ちぶれた3流ボクサーが、リングネームのイタリアの種馬(stallion)を世界チャンピオンのアポロ・クリードに気に入られて、世界チャンピオンにいきなり挑戦できるというアメリカン・ドリームを手に入れる。

そういえば昨日の飲み会でミッキー・ロークがボクサーだったっていう話を聞いた。サントリーのcmに出てたとかなんとか。

ミッキー・ロークの「レスラー」。以前紹介したんだけども、この時のミッキー・ローク(ラム)はキリストのメタファーということで、ボロボロになり続ける。

ロッキーも同じ。ロッキーがアポロに何度も何度も殴られるのは、キリストが磔にされる前にボロボロにされることを表している。

それでもなおロッキーは立ち上がり、前に進み続ける。自分自身がゴロツキ(Bum)ではないことを証明するために。

もし”go the distance with Creed” 最後までクリード(アポロ)相手に最後まで立っていられたら。。。

クリードは信念という意味。つまり、信念とともに、最後までやり抜く。それこそが証明であり、エイドリアンが羽ばたくためであり、アメリカのためである。

ロッキーは自分自身のためだけには戦わない。エイドリアン、ミッキー、ポーリーといった周りの人達も一緒に引き上げていく。そしてフィラデルフィアアメリカまでを復活へと導く。

これを観て泣かずにいられるわけがない。。

しかもアメリカ人が好きな小物をチラチラと入れ込んでる。ラウンドガールやリングの鐘、物語の設定も独立200年の記念に合わせている。

立ち上がれ。ロッキーは再生の映画であった。

Get on up!!

間違えた。ゲロッパじゃあジェームス・ブラウンのsex machine だから違う意味になっちゃうよ。